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【事例】空調設備会社様 漏水事故後の床下カビの除菌事例

公開日:2024.05.09

【事例】空調設備会社様 漏水事故後の床下カビの除菌事例

導入企業について

今回のご依頼主は東北地方で展開されている空調設備会社様です。
新築住宅への据付工事の際の不備により漏水事故を起こしてしまい、住人様からの苦情により対応が必要となりました。

事例詳細

当事例でHYSIAが求められたこと

このように、漏水事故を起こしてしまった業者様からの汚染状況の調査依頼は少なくありません。こういったケースでは、カビ調査の結果が補償内容の判断材料にもなるため、正確性、公平性が求められます。事故を起こした側は全面的に過失を認めつつも、住人様からの要求の全てに応えることがどうしても困難な場合もあり、生産的な話し合いのためには基準となる客観的なデータが必要となります。

他にも、実際に汚染環境を改善するための施工ノウハウは勿論の事、狭所での作業を無事故で終えるための「安全管理能力」も問われます。特に当住宅には先進的な空調関連の設備が多く導入されていたため、床下には機器、配管、配線が多く、作業時の安全確保のため多くの危険予知と作業の慎重さが求められました。

実際に実施したサービス内容

・住居内全域のカビ調査
・床下への除菌剤処理
・全館オゾンガスくん蒸
・カビ数再検査

【1日目 初回カビ調査】
まずは被害範囲や被害の強さ、汚染カビの種類などを目視で調査し、住人様から空調設備の内容や運用状況、時系列などの聞き取りも行いました。検査は空中浮遊カビ数と付着カビ数について計20ポイントで実施し、作業時間は2時間程度でした。持ち帰った検体は培養に7日を要するため、結果の分析〜書面提出までは調査から10日程いただきました。

検査結果は芳しくなかったため、除菌処理作業の案を併せて提出し、「床下への除菌剤処理」「全館のオゾンガスくん蒸」「処理後のカビ再検査」の3つを追加で行う事で合意しました。

表面付着菌採取の様子
表面付着菌採取の様子

【2日目 床下除菌剤処理】

除菌剤は自社試験でカビへの高い除菌効果を確認した抗菌成分入りのエタノール製剤を使用しました。換気を行いながら床下の全面を処理した後、備え付けの床下空調設備を活用して短期間で乾燥させました。床下面積が広く、安全管理上の注意点も多かったことから、作業には朝から夕方までかかりました。

除菌剤で処理する様子
除菌剤で処理する様子

【3~4日目 オゾンガスくん蒸処理】

オゾンガスくん蒸は、除菌剤処理と別の日に実施しました。オゾンガスのくん蒸は午前中から開始して翌日の昼頃まで夜通しで行いました。尚、くん蒸中は建物内に人が立ち入ることができなくなるため、住人様ご家族には一晩外泊をしていただきました。

床下のオゾンガスくん蒸の様子。

補足情報「オゾンガスくん蒸について」

「主なメリットとデメリット」
液剤による表面処理と比較し、より広範囲に満遍なくアプローチできるオゾンガスくん蒸には、以下のような多くのメリットがあります。

・表面に付着しているカビだけではなく、空中に浮遊しているカビにも有効
・手の届かないわずかな溝や隙間にも行き渡る拡散性と浸透性
・強力な脱臭効果(ホテルの客室やカラオケボックスなど広く利用されている)
・ドライな工法であるため、汚損リスクが低い(サーバー室でも使用可能)
・換気を行うと直ちに酸素へと戻りつつ放出されるため、残留物の心配が無い
・終了後、30分程度で安全にお引き渡しが可能

しかしながら、オゾンガスは誰しもが気軽に利用できるものではありません。取り扱い上の注意点や、以下のようなデメリットもあります。

・比較的工期が長く除菌作業では2日間に渡るケースもある※
・くん蒸中は対象施設に立ち入ることができない
・換気状況によっては作業後数日~数週間の間、オゾン臭を感じることがある

※除菌の対象、被害の程度、広さなどの条件による

「カビ除菌に必要な濃度の確保について」

カビを除菌するためには環境中のオゾンを必要な濃度にまで高め、それを一定時間維持しなければなりません。戸建て住宅まるごと一棟を対象にその条件を達成するためには大きな出力を必要とするため、用いるオゾン発生装置は大型かつ高額なものになります。
HYSIAでは、除菌の対象となる菌の種類や対象施設の広さなどを基に、必要なオゾン濃度と機器の出力を算出し、使用する装置の種類や台数を決定します。
 
「安全面について」

オゾンはカビを除菌できる程にまで環境中の濃度を高めると、人体に対しても一定の有害性を持ちます※。そのため、くん蒸が始まると施設関係者含めて立ち入りができなくなる、といった不便な点もあります。HYSIAではそういった安全確保のための注意点やご協力いただきたい事項についての説明は、事前に書面を使って丁寧に行います。

実際の現場では様々な要因によりオゾン濃度が計算通りに上昇しない事も多く、作業時には専用機器を用いたオゾン濃度のチェックも必須事項です。

オゾン濃度(ppm)

作用

0.01~0.02 ppm

オゾンの臭気を感じる

0.1 ppm~

鼻、のどへの刺激

0.2~0.5 ppm

視力の低下

0.4~0.5 ppm

上部気道への刺激の感知

0.6~0.8 ppm

胸痛感知、咳

1~2 ppm

疲労感・頭痛・頭重の感知、呼吸機能の変化

5~10 ppm

呼吸困難、脈拍増加

50 ppm~

生命の危険が起こる

(特定非営利活動法人 日本オゾン協会「オゾンハンドブック」より)

【4日目 カビ再検査(オゾンガスくん蒸後)】
処理後の検査は事前検査と同様の数と位置で行い、培養を経て10日程で報告書を提出しました。結果として、床下を含む全域でカビ数は劇的に改善しました。

写真は除菌処理を行う前後の比較で、リビングの同地点での空中浮遊菌の培養結果です。丸いカビの集まりを「コロニー(集落)」と呼びます。大きさに関わらずコロニー1つにつき、カビが1つ捕集されたものとしてカウントします。1枚目では無数のコロニーが見られ、空気の深刻なカビ汚染が確認できます。一方、同量の空気を調べた除菌後のコロニー数は1桁まで減少しています。

改善度の目安として、除菌後のカビ数はカビが少ない冬季に屋外で検査した時と同じかそれより少ない程度であり、一般住宅の平均(※自社調べ)を下回ります。

空中浮遊菌培養結果

除菌前。無数のコロニーが確認できる。
除菌前。無数のコロニーが確認できる。
除菌後。目視できるコロニー数は1桁程度。
除菌後。目視できるコロニー数は1桁程度。

※補足:厳格に管理されたクリーンルームでない限り、カビは基本的にどこにでも舞っており、私達は日々一定数のカビを吸いこみながら生活しています。ただし、極端に多くのカビを日常的に吸引する事は健康被害に繋がる恐れがあります。そのため、住居や職場など、日常的に出入りし長時間過ごす場所では、カビを繁殖させないことが大切です。

HYSIAを知ったきっかけと導入の決め手について

当社を見つけていただくまでは、問題を解決できそうな業者を探すのに大変苦労されたそうで、最終的には同業者に相談し、紹介して貰ったそうです。
導入にあたっては、解決までの道筋、実施手順についての説明が分かりやすく腑に落ちる内容であり、すぐに住人様の合意を得られた事だそうです。

HYSIAの導入までの流れについて

最初の電話問い合わせで詳しく事情を伺い、大まかな解決へのフロー案についてご提案しました。その中で、現状の汚染状況をきちんと調べて住人様に示すため、始めにカビ調査を実施するプランにご納得をいただき、現地の図面などから検査内容を設計してお見積もりを提出、ご依頼いただきました。

カビ調査を実施してから結果の報告までは10日程※。検査結果も深刻であり「床下除菌剤処理」「全館オゾンガスくん蒸」「処理後カビ再調査」のお見積りも、報告書と一緒にご提出しました。

この段階で、クライアント様から住人様に対し、外泊を伴う大がかりな施工についてご理解、ご協力をいただくための説明の機会がありましたが、HYSIAとしても必要な情報を書面化の上、WEBで参加するなどして最大限サポートさせていただきました。その後、除菌処理と事後調査に3日を要し、そこから検査結果の報告まで更に10日ほどいただきました。

HYSIAの導入後の効果について

処理後検査の結果からきちんと衛生状態の改善が確認でき、悩まされていたカビ臭もすっかり収まったことから、その後の問題は一切無く安心してお過ごしいただいているそうです。

HYSIA担当者からコメント

本件の導入について こだわったポイント

本件は床下のカビ汚染範囲が広く発生量も多かったため、除菌剤は多めに使用して念入りに処理する必要がありました。多少触れたり吸引しても安全な薬剤ですが、狭所での使用には危険が伴うため、細心の注意を払って作業を行う必要があります。

しかし、大量のカビの日常的な吸引は重大な健康被害に繋がる恐れがあるため、誰かがやらなければなりません。健やかで心から安らげる住まいに復旧することの社会的意義は大きく、HYSIAは本件のような重大なカビの問題に、環境衛生のプロとして責任をもって挑んでいます。